すべて人は脳を100%使っている…それなのに
脳の使い方を知るとなりたい自分になれる
昔、「人は脳の10%しか使っていない。」というのを聞かれことがあるかもしれませんが、脳科学が進んだ現在では、その証拠はないといわれています。もし、脳の90%が死んでしまえば、生活にも支障がでます。(死ぬかもしれません。)
それどころか、医学や脳科学的にも「人は脳を100%使っている。」というのが定説になっています。
それでは、脳を100%使っているにも関わらず、人生を謳歌する人と一生苦労する人に分かれるのはどうして?
今回のテーマは、「脳を正しく使う方法」についてお伝えします。是非、ご参考にしてください。
ひとの脳は、みな同じ
よく天才と凡人の脳は違うといわれます。これって本当だと思いますか?
このデータを見てください。
現在人の脳の容量:1,450cc
20万年前のネアンデルタール人の脳の容量:1,200~1,600cc
ネアンデルタール人と現在人の脳は、ほとんど変わっていません。
次は脳の重さです。
日本人男性の平均:1,350~1,400グラム
日本人女性の平均:1,200~1,250グラム
女性は脳が軽いから男性より頭が悪いでしょうか?そんなことはありません。男性より頭がよく仕事ができる女性は多くいます。
ちなみに、像の脳の重さは、4,000グラムで、鯨は7,000グラム。脳が大きいからとか重いから賢いというのは嘘です。
その証拠に、天才アインシュタインの脳が1,230グラムだということは有名です。日本人の女性並みの脳の大きさしかなかったのです。
よく、頭が良い人の脳は、しわが多いとか神経が多いとかいわれますが、これも迷信です。天才も凡人もひとの脳の構造はすべて同じで、医学的にもしわと知能の関連性はありません。
このように、だれもが同じ脳を備えているのに、頭が良い人や仕事が出来たり、反対に頭が悪かったり、仕事ができないのはどうしてでしょう?
脳の構造
記憶や情報処理する大脳皮質の構造は、内側から本能的(原始的)な脳があり、外に向かって理論的な脳というようにできています。
後頭葉:視覚から入ってきた情報を本能や自律神経、記憶によって感覚的に思考する。
側頭葉: 聴覚、言語、記憶、音や色、形を情報処理。
頭頂葉:身体や周囲を認識。
前頭葉:思考や判断を行なう。
後頭葉が感覚的なのにたいして、あとの3つの脳は、論理的に知覚、思考、判断、意思、感情をつくります。
後頭葉が右脳(感覚的)、あとの3つが左脳(理論的)です。
脳の情報処理
外からの情報は、五感を通して入ってきます。視覚、聴覚、嗅覚、触覚、体感覚によって、情報が脳に入ってきます。
この時は、ワーキングメモリーという記憶脳に一時的に保存されるのですが、大脳皮質で、その情報が自分にとって「良いか悪いか?」または、「必要か必要ないか?」と自分の中の記憶をもとに将来の予測をたて適切な応答を引き出します。
最先端の心理学であるNLP(脳の取り扱い説明書)によると、
脳は、受け取ったすべての五感情報をそのまま処理するのではなく
必要なものだけを選択し(削除・省略)
パターン化し(一般化)
脚色して(歪曲)
脳の中で情報を加工して再構築して表出します。
それを私たちは「現在」として認識体験しているのです。さらに、脳の中で情報を加工して表出された体験を
言語化するときにも
【削除・省略】【一般化】【歪曲】が行われています
この働きによって、情報が解釈され短期記憶、長期記憶と振り分けられる。 情報を入れたことで、今度は脳がするのは行動です。話す、書くことなどです。
脳に情報が入ってくると、すべての行動をつくります。そして、大事なのは情報がはいると「感情が表れる」。
人は感情に左右されます。感情によって行動が決まるのです。ここがポイントです。
脳は痛みを避け、快楽を求める
人は本能的に痛みを避け、快楽を求めます。
船が転覆したら、必死に岸に向かって泳ぎます。そして、水泳大会で優勝したら100万円の賞金がもらえるとしたら、必死で練習するかもしれません。
でも、この「痛み」も「快楽」も、脳が勝手に意味づけしたものって知っていましたか?
先ほどのたとえ話でも、もし泳ぎができない金づちの子供だったら、どれだけ賞金を積まれても「痛み」としか感じません。というか、泳ぐことが痛みなので、なんとか水泳大会の話題を避けようとします。必死で水泳以外の話題をつくるかその場を避けようとするかのどちらかです。
今、何を説明しようとしているか分かりますか?
この子供は、脳を使うことに消極的ではなく、積極的に100%脳を使っています。ただ方向が間違っているだけ。脳科学でいうと情報処理の仕方が悪い。
情報と解釈は異なります。
情報の解釈は、人の体験やその時々の感情によって違ってきます。だから、同じ情報が入ってきても、「痛み」と感じることがあれば、「快楽」と感じることも。
でも、問題なのは、その感じ方によって行動が変わることです。行動が変われば、必ず結果も変わります。
たとえば、「勉強が嫌い」な子供は、勉強することが辛いこと(痛み)だと感じているからです。どうして勉強することが辛いと思うかというと、以前に「勉強しろ、勉強しろ!」といわれて勉強したが、良い点を取れずに親から「お前は頭が悪い」といわれ嫌な記憶が残っているからかもしれません。
その時、脳では「勉強=辛いもの」と認識。その子供にとっては、勉強することが痛みなので、脳がフル回転で勉強から逃げることを考えるのです。その結果の行動が、寝る、遊ぶ(一時的な快楽に逃げる)という行動に。子供によっては、勉強するふりをして親から誉めてもらおう(快楽を求める)とするかもしれません。
それでは、勉強が好きな子供はというと、勉強をすることで親から誉めてもらい、頑張った結果、良い点が取れた。そのことが嬉しく(快楽)自分に自信ができた(快楽)。この子供の頭の中には、「勉強=快楽」と認識されているのです。
だから、このような子供は、勉強(快楽)するために、必死にそういう環境を作ろうと励みます。受験勉強でさらに良い高校、良い大学、良い就職を目指そうと、勉強する理由づけを作るのです。実際、子供の脳の中では「快楽」を求めているだけなのですが、脳が勉強を快楽だと勘違いしたことから、行動に違いが生まれたのです。
脳の解釈を変えるには
痛みを快楽に変えることが出来れば、何でも楽しく成功できます。人が行動しないとか恐怖を感じるのは、そのことを「痛み」だと感じているからです。
崖からロープを体に巻き付けて飛び降りるロープダイビング。私は怖くてできませんが、高いお金を払って飛ぶ人が沢山います。あの人たちは、恐怖にチャレンジすることが「快楽」だと思っているのです。怖いことをクリアしたことに快楽を感じ、周囲から凄い奴だと思われる(快楽)と勘違い(解釈)しているのです。
でも、その勘違い(解釈)があるから、凄いことができるのです。
脳の解釈は、普通は自動的に行われます。
過去の体験や「自分は…である。」というアイデンティティで、情報が解釈されます。目標を達成したいのに行動できない場合には、「私はできない。」、「できない、出来ない、できない」と潜在脳が言うので、「失敗したら…こうなる。」と悪い結果を予測します。これが痛みになり、ネガティブな感情を引き起こす。感情がネガティブな行動を作ります。
このようにならないためには、達成したい目標があれば、意識的に脳を使う必要があります。
脳をポジティブに働かすには、
- 体を健康にする(睡眠、姿勢、栄養、運動、呼吸によって、脳に十分な酸素を送る)
- 何を信じるか?(アイデンティティ、価値観を変える)
- 何を話すか?(自分に、他人に話す言葉に注意する)
この3つを毎日の生活に取り入れることで、物事の解釈が変わります。解釈が変わればおのずと行動にも変化が生まれます。成功は行動の積み重ねということは、何千年も昔から分かっていることです。
プロのサッカー選手とアマチェアの実力の違いは、練習量が違うから、練習の方法が違うからです。元々の能力にはそれほど差がないといわれています。
成功習慣をつくる
当初は慣れていないため、毎回意識的に脳を使うことには抵抗があるかもしれません。でも、成功するためには大事なことなので続けないといけません。
ところが、嬉しいことに新しい習慣作り上げるのに平均して66日間という実験結果がありました。
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London)のPhillippa Lally博士らのチームは、平均27歳(21-45歳)の学生96人(男性30 人, 女性66 人)を対象に84日間、1日1回新しい習慣を繰り返し、どのように身につくかを調査しました。
新しい習慣として、27人は食べること(例:昼食に果実を食べる)、31人は飲むこと(例:昼食と一緒にボトル1本の水を飲む)、34人は運動(例:夕食の前に15分走る、朝のコーヒーを飲んだ後に50回腹筋をする等)、残りの4人は瞑想などを選びました。参加者は、毎日ウェブサイトにログオンして、「私は自動的に行った」「私は何も考えず行った」「しないことは難しい」など、行動の自動性について自己報告をしまし結果は、習慣が身につくまでの平均時間は66日で、参加者の間で18日から254日まで個人差がありました。
始め難しいことでも、毎日続けることで習慣になります。
ポジティブに解釈することが習慣になれば、その後は、無意識に何でも前向きに行動できるようになります。それも、以前は辛いと思っていたことが楽しく感じられる。
そんな良いことってないですよね。